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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
……葵が全然気にしていないことに驚きつつも
怒ってないと言ってくれたから、ようやく最後のつっかえが取れた気がする。
……だけど、これだけは伝えておかなければ。
「あのね、今夜のことは……
姫宮さんはちっとも悪くないのよ」
「………!」
「……葵が、お嬢様と食事をすることが心配で……
そんな私の不安を無くす為に、ここに連れてきてくれたの」
改めて背筋を伸ばして、葵に向けて頭を下げる。
「お仕事なのに、暴走してごめんなさい」
「………」
「全ては私が元凶です」
葵が心配だったと言ってくれたから
私もこうして素直な気持ちを言葉にすることが出来たけど……
……夜風が吹いて、潮の香りが宙を舞う。
東京湾の上を飛行するエンジン音が、遠くから響いている。
……すると、暫くしてから
「……あいつとは」
葵の声が聞こえて、私はゆっくりと顔を上げた。
「姫宮とは
2年前の蓮の結婚式で、初めて会ったんだよ」
「………!」
「俺は同期として、あいつは友人として。
だから当時、別に挨拶もしなかったし何も話さなかった」
「………」
「お互い実はすげー近い位置にいることに気付いたのは
ほんの2ヶ月前、蘭の会社のエントランスですれ違った時」
……あ……!