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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
“ 早く行ってやんねぇと、他の女達に逆ナンされるぞ ”
“ ど、どうして分かっ… ”
“ さぁな、彼氏に聞きな ”
「……あの時……」
NYから帰ってきた葵が、会社に迎えに来てくれた時
エレベーターの前で笑った姫宮さんが、今になって理解できた。
……そっか、そうだったんだ。
今まで葵にはぐらかされてきたけど、2人は2年前に……
「……その二次会で
姫宮が企画したサプライズ的な余興があって」
「……余興?」
「あぁ。
どーせ大したことねぇ学生仲間の演芸だと思ってたんだけど
不覚にも俺、グワッと心臓掴まれて」
「………!」
「普段、プライベートでも滅多に感情が動くことなんてねぇのに
……気付いたら、涙が止まらなかった」
「………っ」
……優しい眼差しで海を見つめる葵。
ゾクッと全身が震えて、声にならない。
「……蓮から学生時代の話を聞いてたから
結婚式で本物を見るまで、どんな奴だろうってずっと思ってたけど」
私に視線を戻した葵が、ふっと笑みを零した。
「……蘭、お前最高の相棒を持ったな」
「………っ」
「あいつすっげーいい男だから。
良かったな」