この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
……我儘で自己中な私が
自分を褒められるより、何百倍も嬉しいなんて。
“ 俺は嫌いじゃないぜ、あーいう白黒ハッキリした男 ”
……姫宮さんの言葉を思い出して
2人が心と心で通じ合ってるみたいで……胸が熱くなってしまう。
「……今思い返しても
あの時がきっかけだったのは、間違いない」
涙が零れる寸前の私の手に、葵の手が重なった。
「姫宮とその仲間達のメッセージを聞いて、勝手に勇気付けられて
……1%の可能性に懸けてみることにした」
「………!」
「自分に誓ったんだ。
いつか蘭が俺を見てくれるまで、この想いは絶対に消さない」
「………っ」
「何年かかってもいいから
……いつかきっと、その時が来るまで」
葵が強く私の手を握った。
笑顔も、声も、彼が作るこの空気でさえも
何もかもが優しくて、もう言葉にすることが出来ない。
「届かないと諦めていた願いが叶う、そんな奇跡がきっとあるって
……もう1人、俺にそう言ってくれた人がいて」
「………っ」
「彼女の言った通り
こうしてお前と手を繋げていることは……俺にとって奇跡そのものだ」
葵の笑顔が、瞬く間に滲んでぼやけていく。
……胸がいっぱいで苦しい。
心が震えて、どうしようもない。