この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
「最近の俺の趣味」
両手を握りしめて、葵が私を引き寄せる。
「好きな女が彼女になったって報告すると
同僚や友人達がアホみてぇに喜ぶ」
「………!」
「その笑顔を見てるだけで、なぜか俺まで嬉しくなるから
世界中に言いふらしたくなる」
「………っ///」
「初めての女でもなんでもねぇのに。
中坊かっての」
苦笑する葵のおでこが、私のおでこにコツンとぶつかった。
……瞬く間に、気分上昇。
ドキドキがすごいことになってる。
「……蘭のせいで
擬態語や擬情語がぴったりハマる人間になっちまったじゃねぇか」
「……私のせいなの?」
「どう考えたってお前だろ。
ウキウキワクワクさせんじゃねぇよ」
「……ふふっ///」
ねぇ、どうすればいい?
このふわふわ浮いてしまいそうな気持ちを、どこに持っていったらいいか分からない。
……キスできるくらい、密着してるのに
出来ないこの数センチの距離がもどかしい。
下のデッキから乗客の声が聞こえてきて、彼らが顔を上げたら見えてしまうから
無理だって分かってるけど……