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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
「……蘭」
少し声を落とした葵が、ふいに私から離れた。
……その顔から笑みが消えている。
「……? なに?」
「………」
「どうしたの…
……!」
……あ、また……
瞳が色濃く変化したから
葵の手を握ったまま、次の言葉を待っていると
「……お前も知ってる通り、俺は “ 独り ” だから」
「………!」
「そのせいで、蘭を悲しませることがあると思う」
……えっ?
悲しませる……?
「葵、それって…」
「お前が部屋に置いたブライダル情報誌で、俺も負けずに色々妄想してんだよ」
「……へっ?」
「親への挨拶に結婚式、新婚旅行もそうだし
今住んでる賃貸は捨てて分譲買っちまうか、とか」
「~~~!///」
「さらに炸裂すると、子供が出来た後とか老後とか」
~~ろ、老後!?
一流妄想癖の私でさえ、まだそこまで辿り着いてないのに!?
「あ、おい……?///」
鼻血が吹き出てしまいそうで、思わず両手で顔の中心を押さえると
葵は決まりが悪そうに、ふっと目を逸らした。
「……言っただろ。浮かれてんだよ」
「………!」
「蘭にプロポーズした、あの時からずっと」
「………っ」
「お前との未来予想図
……想像するだけで、すっげー楽しかったりする」