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rena's world story★a.n.r.r.y
第18章 月灯りの下で
「……それに、残念ながら
帰省先はうちの実家があるじゃない」
葵がキラキラして見えるから、私は目を逸らして
近付いてくる吊り橋を見上げながら続ける。
「あんな狭くて暑苦しい家、1日いれば十分よ。
それよりも私は年末年始、○○倶楽部のオーベルジュで過ごしたい」
「……オーベルジュ?」
「葵の福利厚生、相当期待してるから。
温泉入って美味しい物食べて……寂しいのさの字も出てこないと思うわ」
私から生まれてくるわけだから
娘でも息子でも、きっと高級リゾートの方が本人達も満足するだろう。
……なんて
子供嫌いなのに、こんな妄想が出来るなんて
私にも一応母性があるってことなのかな。
「……つまり、ね」
葵に家族を…って想いがあるのかもしれない。
でも、今の私は……
「私は、葵が傍にいてくれたらそれでいい」
「………!」
「ううん、それがいいの。
葵と一緒に居る事に意味があるのよ」
“ 恋愛において、遅すぎるなんてこと
この世にはひとつもない ”
「私、お嬢様じゃないしお金持ちでもないけど
葵を好きな気持ちなら、一生誰にも負けないわ」
「………っ」
「……独りじゃないって私が証明してみせる。
この先何年かかったとしても、絶対に」