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rena's world story★a.n.r.r.y
第3章 打ち合わせ
緊急着陸などの万一に備えて
私達客室乗務員は、何度も繰り返し脱出訓練を受けている。
そんな事態になったら、スタッフさん達と協力して私も……
「……ははっ」
「……!」
避難経絡を、ぐるぐると頭の中で描いていた私の前で
瀬名さんが突然吹き出した。
「……? 瀬名さん?」
「あんた職業病だな」
「……??」
「あーやべ、ツボに入った」
煙草を灰皿に置いて、片手で口元を覆った彼。
その肩が揺れているけど、私の頭はハテナマークだらけだ。
「あ、の…」
「救命胴衣って、あの黄色いチョッキだろ?
離陸前に、機内でビデオを見せられるやつ」
「……!」
「膨らませたところで、弾もナイフも貫通すると思うけど」
「……あ!///」
「蓮に着せるって……はは、マジで笑える」
言いてぇのは “ 防弾チョッキ ” じゃねぇの、と正当に突っ込まれて
恥ずかしくて何も言えないままでいると
「……ったく、心配するなって言っただろ」
私を見て、瀬名さんが小さく笑った。
「あんたの前に、俺が刺されてやるよ」
「………!」
「だから
……最後まで、蓮だけを見ててやって」