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rena's world story★a.n.r.r.y
第3章 打ち合わせ
何度目かの胸がキュンとする言葉に、ドキドキが止まらないけど
「……瀬名さん……」
……最後の台詞と、一瞬見せた彼の切ない表情が気になった。
「代わりに刺されるなんて……そんなこと言わないでください」
「別に死んだところで、悲しむ奴なんて誰もいねぇよ」
「……!」
「むしろ俺を刺したい過去の女達は、手を叩いて喜ぶだろうな」
書類に綺麗な文字を書き込みながら、瀬名さんは自虐的に笑う。
……これだけのいい男だから、沢山の恋愛経験があるのよね。
でも、誰もいないだなんて……
「でも、ご家族はきっと…」
「家族はいない」
「………!」
「蓮に聞いてねぇの?
まぁ、あいつも大して興味ねぇか…」
「……っ ご友人や同僚は、絶対に悲しみます!」
「……!」
「こ、恋人だってきっと……!」
隣りのお客さんに、ちらりと横目で見られてしまうほど
私はさっきよりも更に前のめりになって、瀬名さんを見つめた。
……さっきとは違うドキドキが、私の胸をぎゅっと狭く苦しくさせていた。