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rena's world story★a.n.r.r.y
第19章 唇に媚薬 ‐ deep love -
「それに加えて今日はなんなの?
呼び出されたと思ったら、いきなり空港って」
「………!」
「明日はお互い仕事だし、どこにも行けないじゃない」
ブツブツ呟く蘭の、その向こう側に
スーツケースを引いた、背の高い黒髪の短髪が見えてきた。
……今日帰国したばかりの、そいつの腕に手を添えた
1人の女と一緒に近付いてくる。
「蘭、立って」
「……えっ?」
「紹介するから」
目を丸くする蘭の前に右手を伸ばす。
ハテナマークを浮かべる彼女を、俺は自分の隣りに引き寄せた。
……瞳を閉じると
2年前、二次会の打ち合わせをしたあの時の光景が鮮やかに蘇る。
「……葵?」
不思議そうに俺の名を呼ぶ蘭と、手を繋いで
ゆっくりと目を開けると
「………!」
微笑む蓮の横で、その女性は驚いたように立ち止まった。
先月この夫婦と飲んだ時には、俺は何も言わなかったし
この様子だと、蓮も事前に伝えていないようだ。