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rena's world story★a.n.r.r.y
第4章 似た者同士

「姫宮さん、私先に帰りますから」
隣りのデスクから、ツンとした声が聞こえて振り返ると
アシスタントの早坂がストールを首に巻いて立ち上がった。
「月曜のプレゼンで使う資料、共有フォルダに入れておきました」
「あぁ、俺チェックする必要ある?」
「ありません。優秀な私が2度確認しましたから」
「……あっそ」
拍手してぇくらい、相変わらず愛想のねぇ相棒。
俺様の恋愛話とくりゃ、周りの女社員達は目をギラつかせて聞いてくるっつーのに
ひとつ年下のこいつは、余程俺のプライベートに興味がねぇらしい。
「お前、いつにも増して機嫌悪くねぇ?」
「休日出勤のせいで、今日の合コンドタキャンしたんです。
将来有望株が集まる、大手金融会社の会だったのに」
「……へー」
「あーあ、白馬の王子様がいたかもしれないのに……」
ブツブツ言いながら携帯を見る早坂。
それでも昨日の夜、リーダーに出社できるか聞かれた時は二つ返事でOKを出していた。
女と関わると大抵面倒な事に巻き込まれる俺だけど
こいつは仕事をちゃんと優先するから、俺にとって楽で、信用できる同僚だ。

