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rena's world story★a.n.r.r.y
第2章 招待状と秋の風
ベッドの左側に設置された、木製の壁面ラック。
ランダムに重なる棚には、本とかCDとかアクセ類なんかを適当に並べている。
そのラックに向き合う形で、美和が突っ立っていた。
「……?」
先に風呂に入って、俺のTシャツだけ着ている格好。
頭の上で束ねたその髪はまだ濡れたままだ。
「美和」
「………」
「ドライヤー持ってこいよ、乾かしてやるから」
「………」
「……おい」
あ? なに?
こんな近距離でシカトか?
窓を閉めながら2回も呼んだっつーのに、俺に背を向けたまま何の反応も示さない美和。
顔を下に向けていて……ってマジでなんなんだ。
「無視してんじゃねぇよ」
「………」
「さっきから何をボーっと見て…」
後ろから近付いて、団子頭を拳で軽く叩く。
尚も固まったままの美和の顔を覗き込むと
「………!」
視線の先、その小さな手に
花冠のイラストで縁取られた、純白の封筒が握られていた。