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rena's world story★a.n.r.r.y
第5章 2人で、一緒に

“ ……食えてる? ”
全く食べれないわけではないし、病気でもないけど
蓮以外に気付いた人は初めてだ。
……真っ直ぐな深い瞳から目が逸らせなくて
言葉を失った私を、彼は黙ってここに連れてきてくれた。
このビルに、こんな素敵な空間があるなんて知らなかった。
「……あの、姫宮、さん…」
「ヒメでいいけど」
「……えっ!?」
「なんて気軽に呼べねぇか。
“ 姫宮さん ” でいいよ、瑠璃サン」
「………っ///」
チラッと私を見てから、小さく笑った彼。
その整った横顔が綺麗で、また心臓の鼓動が速くなってくる。
「式まであと1週間だっつーのに
そんなんじゃあいつも気が気じゃねぇだろ」
「……は、い」
「で、食えねぇ原因は何?
双方で理解してるわけ?」
「………」
“ 心配してるんだ。
本当に大丈夫かって聞きたいのは、俺の方だよ ”
“ 理由は、言えない? ”
「蓮じゃなくて、私の問題なんです」
「……!」
「私が我儘で、弱いから……」
……蓮の長年の友人とはいえ、私とはほぼ初対面。
だけど、心の声が吸い取られるように放たれていく。
「私の “ 覚悟 ” が……足りないの……」

