この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
rena's world story★a.n.r.r.y
第5章 2人で、一緒に

「……覚悟?」
ハッと我に返って顔を上げると
眉を寄せた姫宮さんが、私をじっと見つめていた。
「足りねぇっつーのは、結婚に対してってこと?」
「い、いえ!その…」
「 “ 我儘 ” と “ 弱い ” ってのも、ちょっと違くねぇか?」
彼の体は1センチも動いていないのに
鋭い視線によって、私の方が自然と仰け反ってしまう。
コーヒーを持つ手にじわりと汗が滲む。
「そういやあんた、去年空港で……」
「………!」
「まさか今でも、完璧にならなきゃいけないとか
アホなこと思ってんじゃねーだろうな」
「~~違っ…、それは…」
「確か俺、心配すんな的なこと言わなかったか?」
「………っ」
「って、ちゃんと覚えてねぇけど……」
“ 相手が何を求めてるか考えたり、無理に相手に合わせようとか思わずに
彼女である今を誇りに思って、自分らしくいればいいんだよ ”
“ 君は、君のままでいいんだ ”
「………」
あなたが覚えていなくても、私の心にはしっかり刻まれている。
何も心配しなくていいと、背中を押してくれたあなたの優しさを……

