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あたしの甘い王子さま
第12章 専務と部長とあたし
「おーい!瀬上はいるか?」
しんみりほんわかした雰囲気を壊してくださったのが
「ねぇ、今の声........」
「うん。野原課長だ........」
強引に目尻に残る雫を指先に染み込ませて、仕切りになっている衝立から姿を見せる。
「はい、此処にいます!」
課長は、自席にいないあたしを心配していたのか、あたしの声と姿を確認するとホッとした表情をみせた。
「すまん、打ち合わせ中だったか?」
「まぁ....急ぎではないので大丈夫です」
「そうか。すまんが専務がお呼びだ。今から行けるか?」
「は、はい。すぐに」
あたしは琴乃と有紀に両手を合わせてごめんのポーズをとり、スマホだけポケットに仕舞い、専務の部屋があるフロアへと急いだ。