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あるマンションでの出来事
第2章 変わり始める
開いた扉の向こうには外の世界が待っている。太陽の光がまぶしく、道には車が通り、歩道には人がいる外の世界。
いつもの風景のはずなのに、なぜか、ここからどこへ向かえばいいのか分からない。
茉莉の頭にふと、佐伯の言葉が過る。
“茉莉の仕事は何?”そう佐伯は聞いた。
会社の受付と茉莉は答えたが、今思えば、受付の仕事内容が思い出せない。ただ受付に座っていればいいだけの解釈ではダメな仕事だ。
けれど、細かい仕事内容を説明することができない。どんなに記憶を辿っても、受付に座り、来客の案内をする以外の事が分からない。
茉莉は自分の記憶について、急に不安を覚えた。
「なんで、こんなに記憶が曖昧なの…?」
今まで疑問にも思わなかった日常が、突如不安な時間へと変わる。夜が明けるたびに日常が変わっていく奇妙な出来事。
それを覚えていなかった自分にも不安を覚える。
「そして、どうして今色んなことを思い出すの?」
家具の色が変わっていたこと、女の人が亡くなっていたはずなのに、その部屋には誰も住んでいないようになっていたこと。そして、自分の仕事について確信が持てないこと。
日常が変わっていっているはずなのに、今まで何も疑問に思わなかったこと。
手すりを持っている茉莉の手に汗が滲む。
これから先に進むべきか、それとも引き返して再び考えるか、茉莉は懸命に考えていた。
いつもの風景のはずなのに、なぜか、ここからどこへ向かえばいいのか分からない。
茉莉の頭にふと、佐伯の言葉が過る。
“茉莉の仕事は何?”そう佐伯は聞いた。
会社の受付と茉莉は答えたが、今思えば、受付の仕事内容が思い出せない。ただ受付に座っていればいいだけの解釈ではダメな仕事だ。
けれど、細かい仕事内容を説明することができない。どんなに記憶を辿っても、受付に座り、来客の案内をする以外の事が分からない。
茉莉は自分の記憶について、急に不安を覚えた。
「なんで、こんなに記憶が曖昧なの…?」
今まで疑問にも思わなかった日常が、突如不安な時間へと変わる。夜が明けるたびに日常が変わっていく奇妙な出来事。
それを覚えていなかった自分にも不安を覚える。
「そして、どうして今色んなことを思い出すの?」
家具の色が変わっていたこと、女の人が亡くなっていたはずなのに、その部屋には誰も住んでいないようになっていたこと。そして、自分の仕事について確信が持てないこと。
日常が変わっていっているはずなのに、今まで何も疑問に思わなかったこと。
手すりを持っている茉莉の手に汗が滲む。
これから先に進むべきか、それとも引き返して再び考えるか、茉莉は懸命に考えていた。