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あるマンションでの出来事
第2章 変わり始める
「何て言ったのか、もう一度教えて…」
「…あ…その…昨日はベージュだったはず…だけど、今は…黒だって…」
「あぁ、なるほど。昨日までベージュだったんだ」
茉莉は黙って頷いた。悪戯な表情を浮かべたままの佐伯は、部屋の中を見渡し、納得する。
「黒はね、茉莉の彼が好きな色だよ」
「え…?」
困惑した茉莉の脳裏に、要の事が過る。
要が好きな色、知っているはずなのに思い出せない。
逸らせない視線に、伝い落ちる冷たい汗。茉莉は首を振り、現実から逃れようと必死だった。
そんな茉莉の頬を、佐伯は両手で包むと、顔を近づけ耳元で囁いた。
「覚えてないの?ベージュの家具、俺好きだったのに…残念」
「え……な、なんで…何で要の好きな色を知ってるの?」
「ん、何でかな。何でだと思う?」
「なんで、かな…」
「彼、本当に出張行ってるのかな。行ってたらいいね」
不気味な笑顔のまま、佐伯は話し続ける。
震える体に力を込め、茉莉は全力で佐伯を押しのけた。
「…あ…その…昨日はベージュだったはず…だけど、今は…黒だって…」
「あぁ、なるほど。昨日までベージュだったんだ」
茉莉は黙って頷いた。悪戯な表情を浮かべたままの佐伯は、部屋の中を見渡し、納得する。
「黒はね、茉莉の彼が好きな色だよ」
「え…?」
困惑した茉莉の脳裏に、要の事が過る。
要が好きな色、知っているはずなのに思い出せない。
逸らせない視線に、伝い落ちる冷たい汗。茉莉は首を振り、現実から逃れようと必死だった。
そんな茉莉の頬を、佐伯は両手で包むと、顔を近づけ耳元で囁いた。
「覚えてないの?ベージュの家具、俺好きだったのに…残念」
「え……な、なんで…何で要の好きな色を知ってるの?」
「ん、何でかな。何でだと思う?」
「なんで、かな…」
「彼、本当に出張行ってるのかな。行ってたらいいね」
不気味な笑顔のまま、佐伯は話し続ける。
震える体に力を込め、茉莉は全力で佐伯を押しのけた。