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あるマンションでの出来事
第3章 動き出す
「何、何!?びっくりするんだけど…思い切りテーブルに躓いたし」
右足指を片方の手で押さえ、眉間に皺を寄せたまま佐伯は茉莉に応答していた。何事も無かったかのような、ゆっくりとした雰囲気に茉莉の苛立ちは更に募る。
「びっくりするのはこっち!嫌がらせするの止めてください!私のリップ返して!」
「は?リップ?俺、持ってないけど…?」
「嘘つかないで…これ、返すから…」
茉莉は佐伯の手にベージュのリップを無理やり握らせた。佐伯は手にあるリップを見ると、ため息を漏らし真顔で茉莉を見ていた。
「俺、本当に知らないから。確かにベージュの家具は好きだけど、俺、別にベージュの色が好きと言うわけじゃないよ」
「え…?」
「俺、リップはピンク系が好きだから」
「………」
嘘を言っているようには思えない雰囲気に、茉莉は困惑していた。
佐伯ではないなら、他に考えられる人物はいない。
右足指を片方の手で押さえ、眉間に皺を寄せたまま佐伯は茉莉に応答していた。何事も無かったかのような、ゆっくりとした雰囲気に茉莉の苛立ちは更に募る。
「びっくりするのはこっち!嫌がらせするの止めてください!私のリップ返して!」
「は?リップ?俺、持ってないけど…?」
「嘘つかないで…これ、返すから…」
茉莉は佐伯の手にベージュのリップを無理やり握らせた。佐伯は手にあるリップを見ると、ため息を漏らし真顔で茉莉を見ていた。
「俺、本当に知らないから。確かにベージュの家具は好きだけど、俺、別にベージュの色が好きと言うわけじゃないよ」
「え…?」
「俺、リップはピンク系が好きだから」
「………」
嘘を言っているようには思えない雰囲気に、茉莉は困惑していた。
佐伯ではないなら、他に考えられる人物はいない。