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あるマンションでの出来事
第3章 動き出す
「で、でも…他に思い当たる人がいないから…」
「でも、俺は違う」
「で、でも…」
「違うから」
「………」
「……一つだけ教えてあげるよ」
「…?」
「ここはいつもの日常とは違う。それはもう茉莉も感付いているんだろ?そのリップはその一つだよ」
気のせい、夢かもしれない、そう心の中で片づけていたことが今、現実問題として立ちはだかっていることに茉莉は気付いた。
リップも、家具も、気のせいではなく本当に変わっていたと言うことだった。
マンションから出ることが出来ず、自分自身の仕事の事も思い出せない。今では自分の部屋のインテリアが本当はどうだったのかさえも分からない。
全て誰かに振り回されているような感じだった。
あまりの恐怖に、茉莉の手が震え出す。
佐伯は、茉莉の手を取ると、思い切り自分の部屋の中へ引っ張った。
カラカラと音を立て、ベージュのリップが落ちる。
「でも、俺は違う」
「で、でも…」
「違うから」
「………」
「……一つだけ教えてあげるよ」
「…?」
「ここはいつもの日常とは違う。それはもう茉莉も感付いているんだろ?そのリップはその一つだよ」
気のせい、夢かもしれない、そう心の中で片づけていたことが今、現実問題として立ちはだかっていることに茉莉は気付いた。
リップも、家具も、気のせいではなく本当に変わっていたと言うことだった。
マンションから出ることが出来ず、自分自身の仕事の事も思い出せない。今では自分の部屋のインテリアが本当はどうだったのかさえも分からない。
全て誰かに振り回されているような感じだった。
あまりの恐怖に、茉莉の手が震え出す。
佐伯は、茉莉の手を取ると、思い切り自分の部屋の中へ引っ張った。
カラカラと音を立て、ベージュのリップが落ちる。