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あるマンションでの出来事
第4章 6階と7階
息をのみ、溜め息を漏らすと、エレベーターは6階に止まり扉が開き始めた。
目を逸らすために下を向いていた茉莉の視界には、嫌でも扉の先にあるコンクリートの床が写る。
見ないようにすればするほど、気になる視線の先を、ついに茉莉は視界に入れた。
「誰も…いない…」
見えるのは誰もいないエレベーターホールに、誰もいない廊下。咄嗟に誰かが隠れたような怪しい動きも音もなく、静かで閑散としたマンションの日常的な風景がそこにあった。まるで、女性が亡くなったことがなかったかにように思わせるほどの平和な風景とも感じる。
「違う、いないんじゃない。いるんだよ、茉莉」
エレベーターホールからそれぞれの玄関扉に繋がる廊下へ足を踏み出し、佐伯は一番手前の扉から手を掛けた。
「佐伯さん?…どういう…って何やってるの!?」
佐伯の怪しい動きに、茉莉は声を上げ601号室の扉に掛けた手を止めた。
目を逸らすために下を向いていた茉莉の視界には、嫌でも扉の先にあるコンクリートの床が写る。
見ないようにすればするほど、気になる視線の先を、ついに茉莉は視界に入れた。
「誰も…いない…」
見えるのは誰もいないエレベーターホールに、誰もいない廊下。咄嗟に誰かが隠れたような怪しい動きも音もなく、静かで閑散としたマンションの日常的な風景がそこにあった。まるで、女性が亡くなったことがなかったかにように思わせるほどの平和な風景とも感じる。
「違う、いないんじゃない。いるんだよ、茉莉」
エレベーターホールからそれぞれの玄関扉に繋がる廊下へ足を踏み出し、佐伯は一番手前の扉から手を掛けた。
「佐伯さん?…どういう…って何やってるの!?」
佐伯の怪しい動きに、茉莉は声を上げ601号室の扉に掛けた手を止めた。