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あるマンションでの出来事
第4章 6階と7階
「茉莉!?茉莉、そこにいる!?」
意識が覚醒したとはいえ、未だ体が言うことを聞かない茉莉は、ようやく声を出すことができた。
「佐伯…さん…佐伯さん!!」
思わず助けを求めた相手もまた、自身を襲った相手。けれども、怖いと思えなかった相手の名前を茉莉は必死に鍵の掛かった扉へ叫び続けた。
異様さを感じ取った佐伯は、扉を壊す勢いで思い切り体当たりをすると、壊れた鍵が鈍く擦れる音と共にゆっくりと扉が開いた。
茉莉の瞳には、佐伯の姿が徐々に写っていく。
動けない茉莉には、自身がどれだけ恥ずかしい格好をしているのかは分かっている。けれど、動かない体はどうすることも出来ない。開かれた扉の向こうには立ちすくみ、茉莉の姿を見下ろす佐伯の姿がそこにあった。
事態を把握した佐伯の瞳が大きくなっていくのが分かる。
佐伯と茉莉の視線が交差した瞬間、茉莉の視界から瞬時に佐伯が消えた。
あまりにも素早い行動に、茉莉は事態を把握することができなかった。目の前から消えた佐伯の姿が見えたのは数秒後のこと。鈍い音と共に茉莉を襲った男が静かに床へと落ちて行く。その男の前に立っている大きな背中を持った佐伯の姿。茉莉は、ゆっくりと自身の体を起き上がらせると、男と佐伯との間に起こった出来事を目の当たりにした。
意識が覚醒したとはいえ、未だ体が言うことを聞かない茉莉は、ようやく声を出すことができた。
「佐伯…さん…佐伯さん!!」
思わず助けを求めた相手もまた、自身を襲った相手。けれども、怖いと思えなかった相手の名前を茉莉は必死に鍵の掛かった扉へ叫び続けた。
異様さを感じ取った佐伯は、扉を壊す勢いで思い切り体当たりをすると、壊れた鍵が鈍く擦れる音と共にゆっくりと扉が開いた。
茉莉の瞳には、佐伯の姿が徐々に写っていく。
動けない茉莉には、自身がどれだけ恥ずかしい格好をしているのかは分かっている。けれど、動かない体はどうすることも出来ない。開かれた扉の向こうには立ちすくみ、茉莉の姿を見下ろす佐伯の姿がそこにあった。
事態を把握した佐伯の瞳が大きくなっていくのが分かる。
佐伯と茉莉の視線が交差した瞬間、茉莉の視界から瞬時に佐伯が消えた。
あまりにも素早い行動に、茉莉は事態を把握することができなかった。目の前から消えた佐伯の姿が見えたのは数秒後のこと。鈍い音と共に茉莉を襲った男が静かに床へと落ちて行く。その男の前に立っている大きな背中を持った佐伯の姿。茉莉は、ゆっくりと自身の体を起き上がらせると、男と佐伯との間に起こった出来事を目の当たりにした。