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あるマンションでの出来事
第4章 6階と7階
つい10分ほど前に、男が茉莉に発したセリフを佐伯は男に返した。
聞き覚えのある言葉に、男は震えながら茉莉へと顔を向けた。
ジリジリと茉莉は体を脱衣所から抜け出し、廊下の壁にもたれかかった。
男からの視線から逃れることが出来ずに、茉莉は怯えた瞳で男を見ていた。
それに気づいた佐伯は、男の顔を思い切り自分へと向けさせ、男と顔を近づけた。
「何見てんの?俺のなんだけど」
「は…はい…」
「何してんの?俺の、なんだけど」
「がはっ!!」
鋭い眼光で男を見下ろし、低い声色で淡々と呟き、ひたすらに男を殴る佐伯に、男は必死に耐えていた。
佐伯に殴られる度に男の体が跳ね上がり、力なく床に落ちて行く。その様子を見ていた茉莉の瞳には恐怖が徐々に表れていった。
思わず心を許してしまった相手が、今、人を殺す勢いで殴っている。
赤く黒い、そんな世界を思わせる佐伯の背中が茉莉を更なる恐怖に突き落とし、その場から動くことが出来ずに、血飛沫で染まる脱衣所を黙って見ることしか出来なかった。
聞き覚えのある言葉に、男は震えながら茉莉へと顔を向けた。
ジリジリと茉莉は体を脱衣所から抜け出し、廊下の壁にもたれかかった。
男からの視線から逃れることが出来ずに、茉莉は怯えた瞳で男を見ていた。
それに気づいた佐伯は、男の顔を思い切り自分へと向けさせ、男と顔を近づけた。
「何見てんの?俺のなんだけど」
「は…はい…」
「何してんの?俺の、なんだけど」
「がはっ!!」
鋭い眼光で男を見下ろし、低い声色で淡々と呟き、ひたすらに男を殴る佐伯に、男は必死に耐えていた。
佐伯に殴られる度に男の体が跳ね上がり、力なく床に落ちて行く。その様子を見ていた茉莉の瞳には恐怖が徐々に表れていった。
思わず心を許してしまった相手が、今、人を殺す勢いで殴っている。
赤く黒い、そんな世界を思わせる佐伯の背中が茉莉を更なる恐怖に突き落とし、その場から動くことが出来ずに、血飛沫で染まる脱衣所を黙って見ることしか出来なかった。