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あるマンションでの出来事
第4章 6階と7階
茉莉には瞬時に、それが佐伯だと言うことが分かった。
彼以外に思い当たる人物がいない。
万が一、別の住人が使うことがあるとしても、今、この状況で考えられるのは佐伯以外にはいなかった。
茉莉の足取りが早くなり、最後には小走りに要の部屋へと急いだ。



「か…なめ…要!!」



必死に茉莉は要の部屋の扉を叩いた。いるのか、いないのかは正直分からない。けれど、背後に迫る恐怖の元凶から逃れるためには、この部屋に縋るしかなかった。

外に出たくても出られない。
逃げる場所も限られている。

それなら、誰よりも自分の事を知っている彼にすがりたい。



「要!要…お願い…出て…」
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