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あるマンションでの出来事
第4章 6階と7階
必死に叩く拳の力が恐怖で緩んでいく。
遠くでエレベーターが動く音がするのを茉莉は聞き逃さなかった。
きっと、佐伯はこの場所に来る。
それが分かっていたからこそ、茉莉は必死にドアを叩いた。
「ま…つり…?」
願いが届いたのか、扉の向こうで不思議そうな、何かを確かめるような低い声が茉莉の名前を呼んだ。
呼んだと言うよりも、確かめたと言う方が正しいのかもしれない。
希望が届いた茉莉は、少し開いた扉を逃さずに、瞬時に手を入れると思い切り扉を開いた。
「要!」
恐怖のあまり、制御できない声量に、力加減。目を見開いたまま震える唇を動かし、必死に名前を呼ぶ茉莉の姿に、目の前にいる要は瞬時に驚いた。
「茉莉…?ど、どうしたの?」
戸惑いの表情が現れている要は、必死な様子の茉莉に声を掛ける。部屋の中に入った途端に勢いよく閉められる扉の音がマンション中に響き渡っているのが想像できた。なだめようとしている要を目の前に、茉莉は、支離滅裂になりながらも要に説明をした。
遠くでエレベーターが動く音がするのを茉莉は聞き逃さなかった。
きっと、佐伯はこの場所に来る。
それが分かっていたからこそ、茉莉は必死にドアを叩いた。
「ま…つり…?」
願いが届いたのか、扉の向こうで不思議そうな、何かを確かめるような低い声が茉莉の名前を呼んだ。
呼んだと言うよりも、確かめたと言う方が正しいのかもしれない。
希望が届いた茉莉は、少し開いた扉を逃さずに、瞬時に手を入れると思い切り扉を開いた。
「要!」
恐怖のあまり、制御できない声量に、力加減。目を見開いたまま震える唇を動かし、必死に名前を呼ぶ茉莉の姿に、目の前にいる要は瞬時に驚いた。
「茉莉…?ど、どうしたの?」
戸惑いの表情が現れている要は、必死な様子の茉莉に声を掛ける。部屋の中に入った途端に勢いよく閉められる扉の音がマンション中に響き渡っているのが想像できた。なだめようとしている要を目の前に、茉莉は、支離滅裂になりながらも要に説明をした。