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あるマンションでの出来事
第1章 いつもと同じはずの日常
茉莉はゆっくりと立ち上がると、シャワールームへ移動して服を脱ぎ始めた。
ドキドキとなる心臓が茉莉自身でもわかる位にはっきりと聞こえる。全てを脱ぎ終え、バスルームのドアを開けた瞬間に、視界に砂嵐が現れた。



「え…」



突然のことに戸惑うが、自分の声が耳にこもって他の音が聞こえづらい。立っていることにも限界を感じた茉莉は、倒れこむように床に体を預けた。

茉莉が倒れこんだ時に音がしたのか、様子を見に来た要がバスルーム付近で何かを言っている。茉莉の耳には早くなった自分の心臓の音しか聞こえない。
けれど、そのすぐあとに、ふわりと自分の体が浮く感覚があった。


それから数時間後。
あれから意識を再び失っていた茉莉の目が開かれる。天井が見え、状況を察した茉莉は、ゆっくりとベッドから起き上がった。

隣には背を向けて寝ている要の姿がある。

ベッドの揺れで茉莉が起きたことに気付いた要は目を覚ますと、茉莉と同じように起き上がり、寝ぼけながら茉莉へ視線を移した



「大丈夫?」

「え…うん…ごめん。本当に迷惑なことして…」

「いや、具合悪いんだったら仕方ないでしょ………あ…」



目を擦りながら話をしていた要は、完全に目を覚まして茉莉を見ると、目のやり場に困ったのか、焦ったように視線を逸らした。その様子に気づいた茉莉は、自分の格好に気づき顔を赤らめ、そばにあった布団で体を隠した。
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