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あるマンションでの出来事
第5章 最後の人
残念そうな声で要は行為を中断すると、部屋の電気を付け、そのモノの確認ができやすくした。突然明るくなったことに、茉莉は顔を手で覆うが、すぐに慣れ、再び要の言う方向へ視線を移した。
「ひっ!!!」
白いはずの壁は、所々血で染められ、黒かった物体の所には血の海が出来ていた。いつの間に移動したのか、寝かされていたベッドにも血が飛んでいた。
黒い物体の正体は、茉莉も知っている人物、佐伯だった。
口を開き、完全に閉じていない瞳は虚ろに茉莉の方へ向けられている。何気なく合った瞳が怖く、そして不気味に感じた茉莉は、瞬時に手で顔を覆った。
「………っ…ぁ…」
声を出そうにも上手く声を出すことが出来ない。鼓動が早くなり、手が震える。茉莉は、動かなくなった佐伯をこれ以上見ることは出来ず、必死に目を逸らすことしか出来なかった。そして、それは恋人である要に向けても同じことだった。
人が亡くなり、この部屋の惨状の中で、要は眠っている茉莉を抱いていた。普通なら出来るわけがない。
「ひっ!!!」
白いはずの壁は、所々血で染められ、黒かった物体の所には血の海が出来ていた。いつの間に移動したのか、寝かされていたベッドにも血が飛んでいた。
黒い物体の正体は、茉莉も知っている人物、佐伯だった。
口を開き、完全に閉じていない瞳は虚ろに茉莉の方へ向けられている。何気なく合った瞳が怖く、そして不気味に感じた茉莉は、瞬時に手で顔を覆った。
「………っ…ぁ…」
声を出そうにも上手く声を出すことが出来ない。鼓動が早くなり、手が震える。茉莉は、動かなくなった佐伯をこれ以上見ることは出来ず、必死に目を逸らすことしか出来なかった。そして、それは恋人である要に向けても同じことだった。
人が亡くなり、この部屋の惨状の中で、要は眠っている茉莉を抱いていた。普通なら出来るわけがない。