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第5章 最後の人

「…はっ！！！えっ！！！？」



思わず半身を起こし、茉莉は動かなくなった真実の姿と現実を瞬時に察した。
急に動き、体勢が悪く感じた要は、茉莉の肩を掴んでベッドに押し付けると、そのまま腰を動かし始めた。

激しく打ち付ける鼓動はそのままに、呆然と茉莉は抱かれ続ける男の顔を見ていた。
そして、同じように姿が歪み始め、現実がそこにあった。



「佐伯…さん…」



目の前には、血しぶきを浴び、嬉しそうな表情を浮かべ茉莉を抱いている佐伯の顔があった。
そして、動かなくなった男の正体は、佐伯ではなく要だった。

確かに疑問に思うこともあった。
けれど、なぜこんなことになったのか…茉莉は混乱の中必死に過去へと記憶を戻した。



「教えてあげようか？」



佐伯は笑いながら、茉莉の脳裏を呼んだのか勝手に話し始めた。