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おなとも!
第2章    
 ホワムーは、さっき私の目の前で平気で勃起男性器を曝け出して公開オナニーした人間とは思えないくらいあからさまに困惑した様子でカバンを胸のあたりに抱えると、小さい声で答えた。


「言ったけどさぁ・・・」

 
 怪訝そうに重たい前髪の隙間から私の様子を伺っている。


 察するに、彼は今日のオナニーのネタは無事に手に入れているため、私の自殺云々に対しては現時点でそれほどのときめきを感じないらしい。


 つまるところ、“明日オナニー出来る超興奮度の高いネタ”と“帰ってすぐオナニー出来るやや興奮度の低いネタ”なら後者のほうが彼にとって高い勃起価値になる、ということなのだろう。


 ・・・色んな意味で死にたい気分だ。
 いや、明日死ぬんだけどさ。


「言ったけど・・・俺きょうはもう帰りたいんだよ。モーツァルトじゃねぇけどさぁ、覚えた楽譜をすぐに帰って書き写したいっていうか、俺もこの興奮を忘れないうちにすぐ帰ってオナニーしたいんだよ。なぁ、もう帰っていいだろ?さっさと帰んねーとさぁ、途中で夢精しちまうよぉ」


 アンタ今起きてんだから、それ言うなら現精じゃね?


 心の中では一応ツッこんだものの、もはやホワムーの変態発言に戸惑いすらしない。
 ホワムーと過ごしたのは短時間といえど、慣れとは恐ろしいものだ。
 見れば、さっき射精したばかりのはずなのにホワムーの制服ズボンの股間部分はテントを張っていた。
 10代男子の性欲はんぱねぇと率直に感じた。


 ていうか、不本意ながらオカズは私なのだ。


 帰宅後ホワムーは私の衝撃的にブサイクなドン引き顔のパンチラ映像を眺めながらオナニーする予定だと予想される。
 私がホワムーを「変態」と“褒めた”こともネタにするはずだ。

 私の肉体をオカズにしていただけないあたり女として致命的に悲しいが、変態の欲情ポイントを常識の範疇で捉える方が負けだろう。

 どのみち私は彼の人生に多少なりとも貢献したことになる。

 ということは、どうせ明日死ぬ私の人生の最後の頼みをホワムーに託したって、ホワムーにとってはプラマイゼロのはずだ。



 そのような思考回路の結果、私は高らかにホワムーに言い放った。

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