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おなとも!
第2章    
「お、お、お父ちゃま・・・」


 どうりで全身バーバリー臭はんぱねぇと思った!なるへそ!


 一人で納得しているあいだにもホワムーは「じゃあなぁ、タカハシサチヨさん」と言いながらひらひら手を振り、去っていこうとしている。
 私はもはや自分が人見知りであるということすら忘却して、慌ててホワムーの背中を追った。


「ま、待ってよう!」


 私の人生に於いて男子の背中を追いかける日が来るとは、それも何かモノを奪われた以外の理由で・・・。


 感慨深い気持ちでホワムーを追い抜き、無駄にでかい図体の前に立ちはだかった。
 その時冷たい風がビュウと吹き、ホワムーの前髪が横に流れた。
 やはりホワムーの顔は、イケメンという概念の真逆を疾走するいかつい顔だった。無論、父親のことを「お父ちゃま」とガチで呼んでいるような顔には到底見えない。
 まぁ、盗撮オナニーしてそうですね。と言われれば、そう見えなくもない顔かも知れないが。


 ホワムーの顔を見て私はようやく自分が自殺し損ねた事実を思い出した。
 ついでに、ホワムーの無駄に綺麗なプリンプリンな尻も。

 気付いたとき私はゴボウのような両手をめいっぱい左右に広げ、ホワムーを通せんぼしていた。


「お、オカモト君に、は、話があります!」

 
 唐突な私の申し出に、ホワムーは細い瞼を何度かぱちぱちさせて私を見つめていた。
 彼にも驚くことくらいあるらしい。


「わ、私、明日こそは絶対死にたいわけ!」


 ホワムーは私の通せんぼと、彼にとってはどうだっていい決意表明を目の当たりにして、驚くほどスタンダードに困惑していた。


「絶対絶対死にたいわけ!」


 それこそ、私がホワムーに感じた困惑の100倍くらい困惑していたように感じる。


「オカモト君、私の遺言聞いてやってもいいって言ったよね!?」


 
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