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おなとも!
第2章    
 しかし今更ノコノコと彼女たちに近付き「よせて♪」と言えるほど私の心臓は鋼ではない。

 だいたいいつの間にか彼女らにすら「ねぇあの子…ヒソヒソ…クスクス」といった態度を取られているのだから例え仲間入りの熨斗紙を貼り付けた菓子折りを持参しようが希望は実現しないであろう。

 しかしまぁ、それはまだ耐えられる範囲だ。友達がいなくとも“休み時間はひたすら寝る”という護身術が私には残っていたからだ。しばらくは平和なぼっちライフを送っていた私だが、冒頭に述べた通り、蒸し暑い6月のある日、いじめは突然はじまった。

 いつものように休み時間机に突っ伏して寝ていた私の背中に軽い衝撃が走った。
 しかしたいした衝撃ではなかったため、誰かがゴミ箱に投げたつもりの紙くずか何かが間違えて私の背中に命中したんだろうくらいの気持ちで無視して睡眠を続けた。

 すると二度目、今度は後頭部に衝撃が走った。
 さすがに気になって顔を上げ振り返ると、椅子の足元に食べかけのパンがふたつ落ちていた。一口かじっただけのヤマザキとかそういうタイプの表面がテカテカしたあんパンと、同クオリティのジャムパンである。

 は?なんだこれ?
 呆然としていると背後から大爆笑が聞こえてきた。
 手を叩いて笑っていたのはクラスの下から二番目くらいのランクに位置する非モテ童貞ゲーマーグループの男子5人組であった。

 彼らは揃いも揃ってキモデブメガネニキビガリチビ鼻毛という非モテ要素を所有している人間たちであるが、そんな人間にすら下等だと思われているらしい私は食べかけのパンを投げられるという非常事態に何も言えずうろたえてしまった。

 彼らは「それまずいからインフル拾って食っていいぞー」などと鬼畜極まりない発言をして、そして自らの発言に手を叩いて笑っていた。 
 ちなみにインフルとは私のアダ名である。
 涙目で周りを見れば、クラスメートは“賛同はしないもののやや面白がって静観している”といった感じだった。

 一体どうして私に対するいじめが始まったのか正確な理由は不透明だが、恐らく人気者グループからキモい等悪口を言われていた彼らもフラストレーションが溜まっていたのだろう。

 恐らく弱いものいじめをすることにより己の自尊心を保つことが目的と思われる。

 そういうわけで、翌日からいじめは徐々に酷くなっていった。
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