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おなとも!
第2章    
 ガリだのブスだの等の悪口はいじめのスタンダードプランだが、それに加えて机に金正日の顔写真をパソコンでプリントアウトした紙を貼り付けられたり、ボボボーボ・ボーボボのセリフを休み時間中ずっと後ろから囁かれたり、教室移動の際は私のあとを尾行しながら延々と麻原ショウコウのテーマソングを熱唱してクラスメートの中でインフルといえばみたいなお約束ネタにされたり、お弁当のおかずだったらしいエビフライの残ったしっぽの部分を「インフル食えよ」と律義に毎日毎日持って来たりと、ある意味感心してしまうほど馬鹿馬鹿しいいじめをされてきたわけである。さすがに辛かったが身体的暴力がなかったから今まで耐えてきたものの、ついに我慢出来ない事件が起こった。

 人間ダーツである。

 寝ている私の背中にコッソリ的を貼り付け、鉛筆を投げる。
 無論鉛筆は刺さらないので次第にエスカレートして最終的に彫刻刀に進化。
 結果、背中にグサッ。
 ぎゃ~!と叫んで飛び起きた私を、キモオタグループだけでなくクラスメートほぼ全員が笑っていた。

 で、自殺を決意。
 これが今日の出来事。

 こんなに辛い学生生活があと3年も続くなんて耐えられない。
 最初は静観していただけのクラスメートもいつの間にか彼らのいじめを見て一緒に笑うようになったのが何より耐えられない。

 アフリカの子供たちや紛争中の国々の子供たちはもっと辛い思いをしていることは理解している。
 これくらいで死んじゃいけないと分かっている。
 でも、今までもずっと笑われながら生きてきて、今後一生笑われながら生きていくのかと思うと耐えられない。
 お父さんお母さん子犬のジョン、ごめんなさい私は先に逝きます。

 高校入学のお祝いにおじいちゃんが買ってくれたニューバランスのスニーカーを脱いでフェンスの前に揃える。
 背負っていたリュックをその横に下ろし、自分はヒョイとフェンスを超えた。
 遺書はリュックの中だ。
 適当な紙がなくて5限目の保健体育時に配られた性教育のわら半紙の裏に切々たる気持ちを綴ったことは些か心残りではあるが致し方ない。
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