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彼は天然記念物
第2章 鈍感
授業に戻ってからも直樹のことを考えるが、なにも分からない。
むしろそっちに頭がいって、授業内容が頭に全く入ってこなかった。


……………………………………………………

下校時間になった校内でちらほらと生徒が出てくる中に無意識に直樹の姿を捜す。
ふと目に入った一年の下駄箱に佇む可愛い女生徒。
その隣には無愛想な直樹。

(また違う子連れてる……

結局、女遊びが治ってないんじゃ仕方ないな……

小さい溜め息をついて帰ろうとする。

「あ!待ってください!」

振り返れば直樹とさっきの女。

「…………なにか?」

「直君のお兄さんですよね?一緒に帰りません?」

「……遠慮しま「じゃあ行こう!」

誘いを断る前に強制的に一緒に帰ることになってしまった。
……っていうか、疑問文だったのになんで強制的になってんの?

(…ま、…少し距離を置いて歩けばいいか。

苛つきながら並んで歩く二人の後ろをゆっくりと追う。
このままとんずらしてもいいんじゃないか、そんな考えが浮かんでくるほどに二人の間に俺の入る隙はない。

しっかりと組まれた腕。

寄り添う肩。

…皆、直樹が女遊びしてるって分かってて一緒に居るのかな。


一人トボトボと後ろを歩いてる自分が哀れだなと自分で嘲笑った。

勿論居ても意味ないので、後々とんずらこいたけど。
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