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奴隷家族- 催眠術師の秘密倶楽部 第二部 -
第12章 美優-懐妊
『…何でも?…コーチは美優の事を何でも判るの?…どうして?…どうして判るの?…』

『美優を愛しているからだよ。美優の事を愛しているから何でも判るんだ』

半年間、陸上部でコーチの指導を受けていた美優は、いつしか無意識にコーチに愛されたいと願うようになっていた。

『…コーチに褒められたい…コーチ…美優を褒めて…コーチの言う通りに上手にできたら…美優の事を褒めてください…コーチ…美優の事を褒めてください…』

美優は褒められたい一心でコーチの指導を真剣に受け入れ実践していった。

そんな美優の態度にコーチも他の部員そっちのけで美優への指導に熱が入った。

『…美優…またコーチに贔屓されてるぅ…』

ほぼ独占状態でコーチから指導を受けている美優に対して周囲からの羨望と嫉妬の眼差しを感じる度に美優は優越感に浸った。

『…褒められたい…もっとコーチに褒められたい…』という気持ちが美優の中で気付かないうちに『…愛されたい…もっとコーチに愛されたい…』に置き換わっていった。

そして、美優自身気付いていない無意識の願望がコーチの幻影に『美優を愛している』と言わせていた。

『…愛してる?…美優の事を…愛してる?…コーチは美優の事を愛しているの?…』

幻のコーチは美優が心の奥底にある無意識領域で望んでいる言葉を並べる。

『そうだよ。僕は美優の事を愛しているんだ。世界で一番、美優の事を愛している。美優の事を大切に思っているよ』

コーチの言葉を美優は甘く心地好く感じる。

『…美優…愛しているよ…』

表層心理ではコーチと教え子の立場で美優はコーチと距離をとって接してきた。

『…美優…愛しているよ…』

もしかしたら美優がずっと待っていた言葉だったのかもしれない。

《…コーチに愛されている…》

美優の身体の芯がじんわりと熱くなる。

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