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それでも大好きなんだーっ!
第6章 もあちゃんとくるみちゃん
「じゃあ、オヤジに身体を売った汚れた私は伊久美先輩にピッタリですね」

勝ち誇った顔でくるみが翼の腕に抱き着き、今だ呆然とするうさこは簡単にその腕の中から押し出されてしまう。

そんなうさこに伸ばした翼のもう片方の手をも捉え、くるみはその指をも絡め取る。


”仲直りしたい”

うさこがそう望んだのだから、翼に出来ることはしてやりたい。

だけど──……


「……彼女の友達ともしないよ」

「彼女?このチビですか?こんなの、友達なんかじゃないです!」

翼の言葉に、くるみはうさこを指差し即答する。


……──この子とうさこが仲直りする価値は、この後も仲良くする価値は、本当にあるのだろうか。


(なんで…そんな、辛そうな顔……)

うさこのコレクションにない今の翼の顔。

でも、それを写メりたいと思えないほど辛そうな顔をしている。

顔を上げたうさこを捉えるのは今にも泣いてしまいそうな翼の顔で、翼が捉えるのはついには泣き出してしまったうさこの顔だ。


「……ごめん。そういう気分になれない……」

うさこが望むのなら叶えてやりたいと思う。

でも、恋心を自覚した今、もううさこ以外と身体を重ねることは出来ない。

ゆっくりとくるみの腕を解く翼の言葉に、くるみの瞳がカッと開いた。


「伊久美先輩まで私を馬鹿にするんですか!私にだって心はあります!傷付きます!」


その体型を、子供の頃から馬鹿にされ続けてきた。

その体型だけを理由に、汚いと罵られてきた。

その体型だから、恋人なんて一生出来ないだろうと……酷い目に遭わされた。

過去のトラウマは、時折くるみに狂気をもたらす。


くるみは、翼のベルトに手を掛けた。

「え?ちょ……っ⁉︎ 」

戸惑う翼の抵抗の手を何度も振り払いベルトを外すくるみの瞳は、もう正気のものではない。


「くるみ!何してんの!」

「く、くるみちゃん⁉︎ 」

慌てて止めに入った もあも、うさこも、くるみの狂気に弾き飛ばされる。


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