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それでも大好きなんだーっ!
第7章 多佳子さんとライトくん
片想いから、セフレになって。なのに、それと同時に翼は本気の彼女を見つけてしまった。

(もう、諦める……そう思いながら、なかなか諦め切れないでいるんだけど)

今だ燻る想いに、夏帆は自嘲気味に笑った。


「ストーカー女」

「気持ち悪!さっさとフラれろ」

悪口に取り囲まれる小さな身体。抵抗を諦めたように、小さくため息を吐き出して、聞こえないふりを決め込む翼の ”本気の彼女”

そんなうさこを取り囲むのは、夏帆から見ればまだまだ子供っぽさの抜けないもあとくるみ。

湧き上がる嫉妬を自身でコントロール出来ない2人は、うさこが自分よりも格下だと見下し攻撃対象にしているのだろう。


そんなことをしても、自身の評価を下げるだけなのに…何より、

(馬鹿ね。女同士のいざこざは翼が一番嫌うことじゃない)

夏帆はため息混じりに今までの翼を思い返す。


うさこと出会う前の翼は、翼やその周りの女の子と揉めたセフレは二度と相手にしなかった。

女の子には優しい翼が、唯一厳しい顔付きになる ”女同士のいざこざ”

翼に近付く女の子たちの間では暗黙の了解なそれを、もあとくるみは知らないらしい……と、夏帆は思っているが、実はもあとくるみが引き起こしたいざこざのおかげで、うさこと翼は本来の場所で結ばれたのだ。


そんな2人に向けてなのか、翼の彼女であるうさこに向けてなのか、3人には周囲から嫌悪の視線が浴びせられている。

視線は厳しくもただの傍観者たち。彼女たちは結束し、あることないこと噂を流し、それが誰かの心を追い詰めたということに考えすら及ばず、時が経てば忘れ去る。

そんなサイクルが怖くて、周囲に求められる ”大和撫子” を演じてきたけれど、

「脳内お花畑と自尊心の塊じゃ、そのまま枯れていくのは目に見えてるわね」

夏帆の言葉に、もあとくるみは鋭い視線で振り返り、傍観者たちは驚いたように夏帆を見つめた。


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