パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第7章 多佳子さんとライトくん

「うさ。バレバレ」

「ご、ごめんなさい」

小声で何やら囁き合い、クスクス笑う翼とうさこ。2人の仲睦まじい姿に、多佳子の中にマグマのようにドロドロと熱くて爆ぜそうな怒りが湧き上がる。


「翼のために開くパーティーなのよ⁉︎ 参加してくれなきゃ困るわ！」

多佳子の大きな声に驚いて、うさこは耳を塞いだ。地獄耳と言われる程にいい聴力。それに加え、うさこは多佳子の威圧的な声が苦手だ。


「俺のためにパーティー開いてくれたんだ。ありがとう」

笑顔を向ける翼。うさこの顔は不安げに歪み、一方の多佳子はその笑顔を快諾の証と受け取りホッと胸を撫で下ろした。

だが、翼の表情は真剣なものへと変わる。

「でもごめん。もううさこ以外の女の子と交わりたいと思えないんだ」

そう言って多佳子から距離を取った翼はうさこの肩を抱き寄せる。


穏やかに微笑んでうさこを見つめた後、多佳子には真剣な瞳を寄越す。

こんな翼の顔、今まで見たことがない。

多佳子の視線は釘付られて引き込まれていくのに、同時に ”敗北感” という苦しくて悔しい気持ちを嫌でも湧き上がらせる。


唇をキツく嚙み締める多佳子に、ずっと黙って聞いていた夏帆がずいっと近付いた。

「どうしてそこまで翼に拘るの？どんどん女として廃ってきているわよ？」

180度のイメチェンを果たした同級生。夏帆だって翼に気があって、翼のために変わったはずなのに。多佳子は訝しげに眉を寄せる。

「俺が、夏帆にフラれたんだよ」

多佳子の心内を察したのか、翼は表情を和らげてクスクスと笑った。

「そうね」

夏帆も翼に笑いかけ、

「貴女もそのキャラを突き通したいのなら、翼をフって前に進んだら？」

多佳子に向けてそう言った。