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それでも大好きなんだーっ!
第7章 多佳子さんとライトくん
「うさ!余所見禁止!」

今だ夏帆を目で追ううさこの目を塞ぐように片手を滑らせながら、翼はうさこをキツく抱き締める。

多佳子からの刺すような視線に、翼も気付いていた。

元を辿れば、翼が自分のものにならないからと多佳子の意地から始まったセフレ関係。

プライドの高い多佳子のことだから、翼がたった1人……うさこに夢中になれば呆れて去っていくだろうと、そう思っていたのに。

うさこを睨む多佳子の視線には嫉妬以上の何かしらを感じる。


「……そんなに ”初めて” を堪能したいの?」

低く小さい声で、多佳子が呟く。

翼とうさこが振り返って見た多佳子は、顔を俯かせ小刻みに肩を震わせていた。

「……穢れたくて、穢れたわけじゃないわ……」

消え入りそうな多佳子の声は、耳のいいうさこにさえ聞き取れない。

「多佳子……」

遠慮がちに掛けられた翼の声に、多佳子はハッと我に返る。そしてうさこをまた睨み付けると、何も言わずパタパタと駆け出していった。


(様子が……おかしかった……)

困ったように多佳子の背を見送りながら、翼は思わずうさこを抱き締める。


「うさ。この後は講義ある?」

「あるんですけど……次の講義までちょっと時間が空いちゃって……」

「そっか。俺はもう行かなきゃ」

つーくんの予定は把握済みです!と親指を立て笑顔を見せるうさこだが、翼の顔は曇り気味だ。


去り際の多佳子の様子に、嫌な予感が拭えない。


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