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それでも大好きなんだーっ!
第7章 多佳子さんとライトくん
そこからは、ライトと多佳子、2人の世界。何度も唇を重ね、貪るように互いの身体に手を這わす。

完全に忘れ去られた存在のうさこ。変態な彼女だが、翼以外のエロシーンを覗く趣味はない。

暇つぶしに…

うさこが取り出したのは、宝物の ”携帯”

つーくんエロ動画コレクションを開き、イヤホンを差したうさこに、

「─────…っ、お前!」

イチャラブまっ只中だと思われたライトが大声で叫び詰め寄った。


「ひえっ⁉︎ な、なな、何ですか⁉︎ いくらつーくんが好きというあなたでも、このコレクションはあげませんよ⁉︎ 」

慌てて、うさこは小さな携帯を抱きしめるようにして隠す。

だが、ライトが詰め寄ったのは勿論それが目的ではない。

「はぁ⁉︎ コレクション?じゃなくて!携帯!持ってんなら誰か呼べ!」


そう。ライトの携帯はここから程遠いロッカーの中。多佳子は今時珍しく携帯は所持していない。

だから、助けは呼べない。ライトも多佳子もそう思っていた。

なのに、

「……私、友達いませんから」

頼みの綱の携帯の、その持ち主はそう言って落ち込む。

そんなうさこの態度に、イライラを隠すことなくライトは怒鳴った。


「翼さん呼べばいいだろ!」

「─────…ああ!」


ポン!とグーで掌を叩くうさこ。

まだ講義中だったであろう翼だが、昼の出来事からうさこを心配していたためかすぐに着信に気付き、あっという間に助けに来てくれた。


あっさりと解決したうさこ拉致事件。犯人である多佳子は気まずそうに翼から視線を反らせている。


「多佳子。ごめんね」

「え?」

絶対に怒っているだろうと思っていた翼から、優しい声が掛けられて多佳子は困惑する。だが、顔を上げた先には真剣な翼の瞳。 


「勝手だけど、俺、うさこが好きなんだ」

言われたのは、分かりきった言葉。

「バージンだから?」

そう問いながらも、多佳子の中でその答えが想像出来てしまう。


「違うよ。うさこだから」

思った通り。そんな翼の答えにどこか安心しつつ、

「女の趣味、歪んでるわね」

悔し紛れにそう呟く。

ウキーッとうさぎのくせに猿みたいな奇声をあげて怒るうさこと、それを諌める笑顔の翼。2人には聞こえないような小さな小さな声で、

「……でも、わかる気がする……」

多佳子は呟いた。

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