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それでも大好きなんだーっ!
第1章 彼女はうさこ
動物的な勘が働くのか、うさこはどうしても多佳子が苦手だ。

愛しのつーくんや取り巻きの男に向けた媚びたような声も、

それ以外に向ける威圧的な声も、

こういう時の甲高い声も、

多佳子の声は一々うさこの耳に煩く響く。


(つーくんのイキ顔だけ撮って、今日は早々に撤退しよう!)

そう心に決めて、うさこは匍匐前進を速めた。

「あ、あんっ、翼っ…来ちゃう…すごいの、来ちゃうーっ」

多佳子の声が甲高さを増す。

(やだやだ、多佳子さんの声 苦手だぁっ)

耐え切れず、うさこが耳を塞ごうと手を動かした瞬間、

「あぁあ───…っ……‼︎ 」

身体を仰け反らせ、多佳子が大きく吠えた。


「……っ……」

キ───ン……

うさこの耳の奥で、不快な金属音のような耳鳴りが大きく響く。


ガタッ…

咄嗟に耳を塞いだうさこの手から、

携帯が床へと転がった。


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