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それでも大好きなんだーっ!
第3章 深雪ちゃん(*≧艸≦)
翼の一挙一動を追ううさこの携帯。

ではなくて、

♪〜♪〜♪〜
翼の携帯が鳴った。


「あ、ごめん。母親からだ」

うさこに断りを入れて電話に出る翼。

”母親” というワードに、うさこの口が緊張から塞がった。


『つばさぁーっ』

静かな空間に、密接する身体。

翼の母親の声は携帯から溢れ、うさこの耳にまで届いた。


『翼ぁ、ごめ〜ん。ママ、急に夜勤頼まれちゃってぇ。ダーリンが訪ねて来るかもしれないから、家に居てくれる〜?」


翼の母親…ということは、若く見てもアラフォー世代。

なのだろうけど……

(喋り方が若い!)

電話口から溢れる声は若く、

そして、

(……多佳子さんみたい……)

うさこの苦手な多佳子のような、甘えた…媚びるような声だ。

反射的に立ち上がるうさこ。

携帯で母親と話しながら、翼はうさこを見つめて首を傾げる。


「ト、イ、レ!」

声は殺し、大袈裟に口を動かし、その方向を指差すうさこに、翼は笑って頷く。

トイレに逃げ込み、一旦呼吸を整えたうさこ。

席へと戻れば、翼はもう電話を終えていた。


「うさ、ごめん。家に戻らなきゃいけなくなった」

顔の前で両手を合わせる翼の、仕草に似合わない大きな身体。

そして、合わせた両手の隙間から、チラリとうさこを垣間見る姿が、

(可愛い……)

写メりたくなる程に可愛くて、うさこの口が綻ぶ。


「仕方ないですよ。お父さん、鍵持ってないんですか?」

軽く聞いたうさこは、

「俺、父親いないんだ。母親の彼氏が来るかもってことかな」

「え…ごめんなさい……」

翼の答えに、激しく後悔した。


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