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第1章 1

そういうものを目の当たりにしながら、自分の前に誰もやってこないという現実はかなり虚しいものだ。
あやみは堪え切れずに席を立ち、用もないのにトイレに行く。
適当に時間を潰してから会場に戻ると既に全員が元の席に座っていた。
彼女は慌てて席につく。
スタッフはあやみに意中の人の番号を書くカップリングシートを手渡した。

そこには第一希望から第三希望までの欄があった。
恋人を探すのに第三希望とかいうのはなんか違和感を感じてしまう。
彼女は第一希望に『１５』とだけ書いて提出する。

集計はあっという間に行われ、結果を持った司会者がマイクを持って参加者達の前に立つ。

「それでは皆さんっ。いよいよカップリング発表です」

今一つ盛り上がっていないかのような静寂のなか、司会者だけは相変わらず空滑りなほど明るい声を出していた。