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第1章 1

「だからあれはなんか運営側のミスなんだって。俺あやみちゃんしか投票用紙に書いてないから」
「本当ですかぁ？」

疑わしい視線を送りながらも、こうして気になる男性と食事にこれたことを喜んでしまう。


結果発表の時、貝塚の後に呼ばれたのはあやみではなく、二回目のフリータイムに会話をしていた女性だった。
「まあ、そんなもんだよね」と宝くじが外れた後のような、言われる前から知ってましたというような顔をしてあやみは会場を後にした。
貝塚がカップルになった人と何やら慌てて会話をしているのを横目で見て、軽く会釈をして通り過ぎる。
そのあやみを追い掛けるように貝塚が走ってきて、こうして食事に誘われたという訳だった。


二人はお見合いパーティーの異様な空気について盛り上がる。
知り合って数時間の相手だけど、共通の異常な体験というのは二人の仲を取り持つのには充分だった。