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いつかは結婚できると思い込んでる私へ
第2章 2
あやみの仕事は営業の補佐をする事務職だ。
若い頃は失敗も多く、営業に迷惑をかけることもしばしばあったが、今では仕事をそつなくこなしている。
押しが強かったり、我の強いタイプではない彼女は男性社員のプライドを傷つけずに上手にアドバイスをし、見事な補佐役を見せていた。
その影ながらの支えは営業部長からも高く評価されている。
そのために最近では営業部で一番年下で頼りない草食系男子、荏原一晃(えはらかずあき)の補佐を任されることが多かった。

「荏原さん、頼まれていた資料出来ました」
「あっ……すいません……」

あやみが綴じた資料を渡すと恐縮したように彼は頭を下げる。
荏原は「ありがとう」とは決して言わない。
その代わりに必ず「すいません」と謝る。謝るというより、それは口癖だ。
営業として交渉する人間がそれではいけないとたまに上司に注意されるが、その返事も「すいません」のため、上司も諦めているようだった。


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