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sunset~君の光になりたい
第7章 同じ名前の彼は
ペコがまた目を白黒させて走ってきた。
「銀川さんっ!すみませんー!ここは私が」
銀川に頭を下げ、スピーカーを受け取り話し始める。
「メンバーの準備が整いしだいサイン会を開催します!
参加券をお持ちのお客様は、一例に御並びになりお待ち下さい!」
ペコは、そこまで言うと、
「ささ!一旦休憩に楽屋へどうぞー!」
と、楽屋にメンバーを先導しに歩いていった。
「里沙!大丈夫?」
千波が心配そうに里沙の顔をのぞく。
「大丈夫だよ……ちょっと疲れたのかも。――さあ、サイン会の前にパイプ椅子片しちゃおう!……痛ーーい!」
椅子を片付けようとして、向こう脛を思い切りぶつけてしまいうずくまった。
「きゃあー!里沙ああ!」
「大丈夫だよ……いたたたっ」
里沙は顔をしかめうずくまった。
「どうしよう!どうしよう!救急箱……救急車!」
「……大袈裟だってば」
周囲が急にざわつき始める。里沙は何事かと視線を泳がそうとしたが、その前に身体がふわりと浮いた。
視界に入ったのは、呆気に取られた千波の顔と悲鳴を上げる会場の若い女の子達。
そして、武彦の横顔。
里沙は、彼にお姫様抱っこされていた。