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sunset~君の光になりたい
第11章 切ない黄金色

ホテルの前で、千波は彼の顔を見れないまま小さく言った。
「ありがとうございました……」
繋いだ手を自分から離すことが出来ない。ヒロもまだしっかりと手を握り締めたままで、何やら険しい顔で黙っている。
「あ……の?」
彼は、握っている千波の手ごと腕を上げ、いきなり大きな声を出した。
「よっしゃ――!」
「え、ええ?」
「千波!動物園好きか?」
千波は頷く。彼も大きくかぶりを振り目をキラキラ輝かせた。
「今度、一緒に行かん?いや、行こう!」
「えっ……は、はい!」
思いがけない誘いに吃驚したのは一瞬で、即答していた。
ヒロがその時、とてつもなく優しい笑顔をして、千波は聞きたい事が聞けなくなってしまったのだった――
(さっき、何故、抱き締めてくれたの?)
――と。

