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sunset~君の光になりたい
第2章 出会いの衝撃

「火事だ――!」
どこからか、切迫した叫び声が聞こえてきた。
「ええっ!?」
「マジ!?まずいじゃん!」
「逃げよっ!」
上級生の女子達の慌てた様子の声が周りで行き交い、タバタという足音と共に遠くへ過ぎ去っていく。
千波は、恐怖で足がすくみ座り込み動けずにいた。
「火事だよ――!千波――!逃げるよ――!」
その声の主は里沙だ、と腕を掴まれた時ようやく気付いた。
里沙は消火器を抱えて息を切らしている。
「ほらっ!早く!」
引っ張られ、千波は走り出した。
「火事って……どこが?」
走りながら当たりを見回すと、火の手は見当たらない。
「あれ――?違ったかしら」
里沙は悪戯っ子のように、舌を出して笑ってみせた。
その時の笑顔を、今でも覚えている。

