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sunset~君の光になりたい
第14章 過去を知る男
今日のインストアは、THE Decemberのアコースティックライブだ。
ペコは大張り切りで、既に準備を始めている。
鏡を見ながら口紅をひき、唇にそっと触れてみた。
(……ヒロさんが触れた場所。あの時、突然素早い動きで私を捕まえて……
金色の髪が、私の頬にサラサラと流れて……
柔らかい感触と甘い匂い。
あの瞬間幸せだったはずなのに。
私の中にある何かが、幸せな気持ちのままにさせてくれない……)
何故あんな風になってしまうのか、自分にもわからない。
ヒロは、落ち着くまでずっと抱き締めてくれていた。
優しく、まるで小さな小鳥を慈しむように。
「嫌いになるわけがないやないか!」
そう言ってくれた。