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sunset~君の光になりたい
第14章 過去を知る男
「まあ、シャウトやノイズを堪能したいならライブハウスへ行けばいい事だしね。
"何より今日は生で近くで、大森さんの声を聞けるからそれだけで幸せだわ~"
て、母さんも納得したけどさあ。
もう、それまではぎゃーぎゃー散々当たり散らされたからね!全く冗談じゃないわよ!」
里沙が憮然として、千波も小さく笑う。その時、座っていた二人の目の前に見覚えのある若い男性がやってきて、こちらをまじまじと見て話しかけてきた。
「ねえ、佐藤里沙と、鈴木千波だろ?……ほら、俺だよ!俺!」
男性は、人懐こく爽やかな笑顔を浮かべ自分の顔を指さした。
里沙は、露骨に顔をしかめた。
「俺だよ俺って……今流行りの詐欺か!
それともナンパなら、間に合ってるから!……て、ええっ?」
里沙は彼の顔を、見て短く叫んだ。
「……宮本!あんた……何よ、東京へ出て行ったんやないの?」
「うん。色々あって帰ってきててさ……いや~びっくりしたよ!電車の中でお前らに会うなんてさ」
彼がちらちらと見てきて、千波は身を固くする。