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隷従超鋼ヴァギナス [1] 胎動編
第1章 プロローグ
(ああ、素敵な風……)
高原に吹く夏の夜風が肌に心地良い。
ケイの長い髪をなびかせた涼風が、デニムスカートからスラリと伸びた脚の内側を、妖精の悪戯のようにくすぐっては去る。山の冷え込み対策で着込んだ白いカーディガンがはためく下で、キャミソールが風をはらんで形の良い乳房の膨らみを揺らす。
「すっごぉい! 天の河きれい~」
英瑠の無邪気な声が満天の星空に吸い込まれていく。妹はパーカージャケットとショートパンツから伸びた細い手足をバタバタさせてはしゃいでいる。ぴょんぴょんと飛び回るせいで、きれいに整っていたショートカットの髪があちこちへと跳ねてしまっている。
英瑠の言う通り、天を流れる星の河の眺めも素晴らしいが、静寂の中に奏でられる虫の声も美しいハーモニーとなって辺りを包み込んでいる。
ケイは耳に手を当て鈴の音の大合唱を楽しんだ。そうしている姿は少し大人びてきた端正な少女の顔をいっそう優美で女性的なものに見せる。
父が妹を呼ぶ声がした。
「英瑠、夏の大三角は見つけられるかい? アルタイルがこんなに大きく見えてるぞ……」
「あっ……望遠鏡! ズルイ、ズルイ、パパばっかり! 英瑠にも見せてよ!」
「ハハハ、ちょっと待ちなさい。今調節してあげるから……」
天体観測マニアの父に連れられて訪れる、夏休み恒例の家族旅行。
父と英瑠のやりとりに微笑みながら、母の真理子が声をかけてきた。
「ケイちゃんはいいの? 望遠鏡」
しっかりもののケイが、ともすれば妹の英瑠に対してお姉さんらしく譲ってしまいがちなのをよく知っており、水を向けてくれたのだ。しかしそれでもやっぱりケイはお姉さんで、人を気遣う優しさは母譲りだった。
「大丈夫よ、ママ! 私はあとでゆっくり。お星さまは逃げたりしないし。それに……ホラ、そんなのなくたって、こんなに……」
頭上の銀幕を仰ぐ。燦々と輝く無数の小さな光のひとひとつが高原に降りそそぎ、ケイたち銀河家の四人を照らしていた。
高原に吹く夏の夜風が肌に心地良い。
ケイの長い髪をなびかせた涼風が、デニムスカートからスラリと伸びた脚の内側を、妖精の悪戯のようにくすぐっては去る。山の冷え込み対策で着込んだ白いカーディガンがはためく下で、キャミソールが風をはらんで形の良い乳房の膨らみを揺らす。
「すっごぉい! 天の河きれい~」
英瑠の無邪気な声が満天の星空に吸い込まれていく。妹はパーカージャケットとショートパンツから伸びた細い手足をバタバタさせてはしゃいでいる。ぴょんぴょんと飛び回るせいで、きれいに整っていたショートカットの髪があちこちへと跳ねてしまっている。
英瑠の言う通り、天を流れる星の河の眺めも素晴らしいが、静寂の中に奏でられる虫の声も美しいハーモニーとなって辺りを包み込んでいる。
ケイは耳に手を当て鈴の音の大合唱を楽しんだ。そうしている姿は少し大人びてきた端正な少女の顔をいっそう優美で女性的なものに見せる。
父が妹を呼ぶ声がした。
「英瑠、夏の大三角は見つけられるかい? アルタイルがこんなに大きく見えてるぞ……」
「あっ……望遠鏡! ズルイ、ズルイ、パパばっかり! 英瑠にも見せてよ!」
「ハハハ、ちょっと待ちなさい。今調節してあげるから……」
天体観測マニアの父に連れられて訪れる、夏休み恒例の家族旅行。
父と英瑠のやりとりに微笑みながら、母の真理子が声をかけてきた。
「ケイちゃんはいいの? 望遠鏡」
しっかりもののケイが、ともすれば妹の英瑠に対してお姉さんらしく譲ってしまいがちなのをよく知っており、水を向けてくれたのだ。しかしそれでもやっぱりケイはお姉さんで、人を気遣う優しさは母譲りだった。
「大丈夫よ、ママ! 私はあとでゆっくり。お星さまは逃げたりしないし。それに……ホラ、そんなのなくたって、こんなに……」
頭上の銀幕を仰ぐ。燦々と輝く無数の小さな光のひとひとつが高原に降りそそぎ、ケイたち銀河家の四人を照らしていた。