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第5章 出撃

　　　　　　　　　　　　　　　　◇

「銀河ケイ君か……なかなか面白い素材じゃないか」

　所長室のデスクに広げたデータを眺めながら男が呟いた。
　アマデラ理論の提唱者、海洋地質学者にして応用冶金学者、ヴァギナスの生みの親、天寺博士だった。

　痩せて引き締まった体つき。四十代に入ったばかりの、仕事盛りの男に特有な充実した気が白衣の上から放たれていた。眼鏡のフレームを人差し指でなでる。それはインスピレーションを求めているときの彼のクセだった。

「ヴァギナス計画は少しプログラムをいじったほうがいいかもしれんな」

　そのレンズの奥に光る目は、悪魔的な微笑みに細められていた。



<隷従超鋼ヴァギナス　[2]　調教編　へ続く>