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情画
第4章 深夜
家に帰れば実の為にワタシは在る。
昨日よりも切り替えられていると思う。

「ママ、おやつなぁに?」

「ホットケーキはどうかな?」

「やったぁ、それがいい。」

焼き上がるまで隣で見ている実。
近所に同年代の子がいないから、帰ってからべったり二人きりだ。

「ママ、フォークとナイフ使いたい。」

実がホットケーキを喜ぶ理由だ。自分で切って食べたいらしい。

まだ上手に使えなくてギギっとお皿を鳴らしてしまう。

その音に、ランチの自分を思い出した。

沙絵さんに嫉妬する自分、フォークで弄ばれた自分。

「ママ、嫌な音させてごめんなさい。」

はっ…

「っああ、大丈夫よ。いっぱい練習しようね。」

実の前で一瞬でもお屋敷のことを思った自分をたしなめた。


主人は食事も要らないと早々に連絡が来た。
実と二人ゆっくりできるとホッとした。

早くに夕飯にし、片付けて、実と一緒にお風呂にはいり、実の部屋で寝た。

主人と顔を合わせたくなくて逃げるように寝てしまった。

翌朝も、実を起こしてから主人を起こし、二人にならないよう避けたのだ。

「ママ、今日は絵変わってないね。」

「あ、そうだね。」

「毎日変わるようになるかと思った。」

「実、絵が好きなの?」

「ここの絵は好き。キレイだもん。」
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